なぜ今、オフィス環境改善が注目されるのか?
オフィス環境改善の定義と注目される理由
オフィス環境改善とは、オフィスで働く人がより快適に、より効率的に、より健康的に仕事ができるように、企業等がオフィス空間の環境を改善することです。
オフィス環境改善が注目される理由は、従業員の生産性向上、満足度向上、健康増進、そして企業全体の成長に繋がるからです。
オフィス環境が整っていないと従業員は十分なパフォーマンスを発揮できなくなり、会社全体の生産性が低下するなど様々なデメリットが発生します。
オフィス環境に関してストレスを感じている従業員はそれなりに多く、ストレスがたまると従業員の業務効率は低下し、会社全体の生産性にも影響します。
そのため、オフィス環境を改善して少しでも従業員のストレスを軽減する取り組みが必要です。
※参考資料 厚生労働省 労働安全衛生調査 - 仕事や職業生活における不安やストレスに関する事項
オフィス環境改善の目的とは?企業が得られる具体的なメリット
オフィス環境を改善する主な目的と、それによって企業が得られるメリットは多岐にわたります。
主なメリットは以下の内容となります。
1.従業員の満足度向上
オフィス環境の改善は、従業員の満足度向上に直結する重要な要素です。
物理的な環境を改善することは、単に快適さが増すだけでなく従業員が会社から大切にされていると感じ、仕事へのモチベーションを高めることにもつながります。
従業員が快適で働きやすい環境で業務に取り組むことは、従業員のモチベーションを高め、※従業員のエンゲージメント 向上につながります。
※従業員エンゲージメントについて参考となる記事
コクヨマーケティング株式会社 - 従業員エンゲージメントの定義や必要性とは?
2.生産性の向上
オフィス環境の改善は、従業員の生産性の向上に大きな効果をもたらします。
これは、単に物理的な快適さだけでなく、心理的な側面やコミュニケーションの活性化にも繋がるためです。
集中しやすい環境やコミュニケーションが活性化する空間は業務効率を大幅に改善し、企業全体の生産性向上につながります。
3.採用競争力の強化と離職率の低下
オフィス環境の改善は、今日の競争の激しい採用市場において、企業の採用競争力強化と離職率低下に大きく貢献します。
単に見た目を良くするだけでなく、従業員の生産性、エンゲージメント、※ ウェルビーイング に直接影響を与える戦略的な投資だからです。
魅力的なオフィスは、優秀な人材にとって働く魅力の一つとなり、採用競争において有利に働きます。
また、既存社員の定着率向上にも繋がります。
※働き方用語
ウェルビーイング
- コクヨ 働き方用語辞典から引用
4.企業ブランディングの向上
近年、企業ブランディングは企業の競争力強化に不可欠な要素となっています。
その中で、オフィス環境の改善が企業ブランディングに与える影響は非常に大きいと考えられています。
単なる「働く場」としてのオフィスから、「企業の顔」としてのオフィスへとその役割が変化しているため、オフィス環境改善は企業ブランディング向上に繋がる重要な投資と言えます。
オフィス環境が悪いとどうなる?見過ごせないデメリット
オフィス環境の改善を放置すると、業務効率の低下と生産性の停滞という深刻なデメリットが生じます。
これらは単なる快適性の問題に留まらず、企業の業績や従業員の定着率にも悪影響を及ぼす可能性があります。
主なデメリットは以下の内容となります。
1.業務効率の低下と生産性の停滞
業務効率の低下と生産性の停滞は、競争力や収益性に大きな影響を与えます。
騒音、散らかったデスク、不適切な照明、室温など、不快な環境は従業員の集中力を著しく阻害します。
集中できない環境では、単純な作業でも時間がかかり、ミスも増えやすくなります。
整理整頓されていないオフィスでは、必要な書類や備品を探すのに時間がかかります。
これは無駄な時間を生み出し、生産性の停滞に繋がります。
2.従業員のストレス増加と心身の不調
従業員のストレス増加とそれに伴う心身の不調は、現代社会において多くの企業が直面している重要な課題です。
個人の健康問題にとどまらず、生産性の低下、休職者の増加、離職率の上昇など、企業活動にも大きな影響を及ぼします。
不衛生な環境、窮屈なスペース、人間関係を悪化させるようなレイアウトなどは、従業員のストレスを増大させます。
ストレスは心身の不調を引き起こし、結果として業務への意欲やパフォーマンスを低下させます。
3.コミュニケーションの質の低下
企業におけるコミュニケーションの質の低下は、現代の多くの組織が直面している重要な課題です。
その原因は多岐にわたり、組織全体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
閉鎖的なレイアウトや、気軽に話せるスペースがない環境は、部門間や従業員同士のコミュニケーションを阻害します。
レイアウトが悪かったり、会話がしにくい環境だったりすると、従業員間のコミュニケーションが滞りがちになります。
情報共有がスムーズに行われないと、業務の連携が難しくなり、効率が低下します。
4.人材の流出と採用コストの増大
企業にとって、人材の流出と採用コストの増大は経営に大きな影響を与える深刻な課題です。
不快なオフィス環境は、従業員の会社に対する満足度を下げ、モチベーションを低下させます。
この会社で働き続けたいという意欲が失われ、優秀な人材の離職に繋がる可能性も高まります。
離職率の増加は、採用コストや教育コストの増大という新たな問題を引き起こします。
オフィス環境改善で得られる具体的な効果
オフィス環境の改善は、単なる見た目の変化にとどまらず、企業と従業員双方に多岐にわたる具体的な効果をもたらします。
主な効果は以下の通りです。
1.集中力と創造性及び生産性の向上
雑音が少なく、適切な明るさや温度・湿度が保たれた環境は、従業員の集中力を維持し、パフォーマンスの低下を防ぎます。
快適で刺激のある空間は、新しいアイデアや発想を生み出すきっかけになることがあります。
整理整頓された環境、適切なレイアウト、必要な備品の充足は、探し物の時間を減らし、スムーズな業務遂行を可能にします。また、集中しやすい環境は作業効率を高めます。
2.コミュニケーションの活性化
会話がしやすい休憩スペースや、部署を越えた交流を促すフリーアドレス制の導入などは、社内コミュニケーションを活発にし、チームワークを強化します。
オープンスペースやカフェスペースなどを設けることで、部門を超えた偶発的なコミュニケーションが生まれやすくなります。
3.従業員のモチベーションアップ
快適で働きやすい環境は、従業員のストレスを軽減し、仕事への不満を解消します。
また、企業が従業員の働きやすさを重視しているというメッセージは、従業員のモチベーション向上につながります。
会社が従業員のために働きやすい環境を提供しているという姿勢は、従業員のモチベーションを高め、企業への貢献意欲を引き出します。
4.健康経営の推進
身体的・精神的な負担を軽減するオフィス環境は、従業員の健康増進に繋がり、健康経営を推進する上で重要な要素となります。
休憩スペースの充実や運動を促す設備、健康的な食事を提供する環境などは、従業員の健康意識を高め、健康的な行動を誘発します。
健康状態が改善されることで、病気による欠勤や、体調不良による業務効率の低下を減らすことができます。
※健康経営に関しましては下記の記事でも詳しく解説しています。
なぜ今健康経営オフィスが注目されるのか? 導入メリット・トレンド・事例をご案内
明日からできる!オフィス環境改善の具体的な施策アイデア
オフィス環境改善は大規模な改装だけでなく、比較的小さな工夫から始めることも可能です。
以下にオフィス環境改善の施策アイデアをいくつかご案内いたします。
レイアウト変更:コミュニケーションと集中のメリハリ
オフィス環境の改善において、レイアウト変更は従業員の生産性、コミュニケーション、エンゲージメントに大きな影響を与える有効な施策です。
単なる見た目の変化だけでなく、働き方や企業文化そのものを変える可能性を秘めています。
現代のオフィス環境において、生産性向上と従業員の満足度を高めるためには、単に席を配置するだけでなく、コミュニケーションと集中のバランスを考慮したレイアウトが不可欠です。
コミュニケーションを促進するゾーンや、集中して作業に取り組むためのゾーンを設け、各ゾーンの目的と利用ルールを明確にし、従業員に周知徹底することが重要です。
執務スペース:機能的なデスクと疲れにくいチェアの導入
執務スペースの快適性は、従業員の生産性、健康、エンゲージメントに直結します。
特にデスクとチェアは、日中の大半を過ごす場所であるため、機能性と快適性を兼ね備えたものの導入は、オフィス環境改善において非常に重要です。
機能的なデスクと疲れにくいチェアの導入は、単なる備品購入ではなく、従業員の健康と生産性向上への投資です。
快適な執務スペースは、従業員の満足度を高め、ひいては企業の成長にも繋がる重要な施策と言えるでしょう。
会議・コミュニケーションスペースの最適化
会議・コミュニケーションスペースは、社員の生産性、創造性、エンゲージメントに大きく影響します。
オープンミーティングスペース拡充により気軽な立ち話、短時間の情報共有、リフレッシュを兼ねた会話など、偶発的なコミュニケーションが促進されます。
集中会議スペースの確保により機密性の高い議論、集中を要するブレインストーミング、オンライン会議など、外部からの遮断が必要な場面に対応することができます。
カフェ・リフレッシュスペースの整備により社員が気軽に集まり、雑談や情報交換ができる場の提供、オン・オフの切り替えを促進することができます。
施策を複合的に実施することで、社員がより働きやすく、コミュニケーションが活性化されるオフィス環境を構築し、企業全体の生産性向上につながります。
リフレッシュスペースの設置:心身の健康をサポート
現代のオフィス環境において、従業員の心身の健康は生産性向上と企業の持続的成長に不可欠です。
長時間労働やデスクワークの増加に伴い、ストレスや疲労が蓄積しやすいため、リフレッシュスペースの設置は有効な施策として注目されています。
リフレッシュスペースを設けることで従業員の身心の健康をサポートし、ストレス軽減とリフレッシュ効果、コミュニケーションの活性化、健康促進、企業イメージの向上と採用強化、エンゲージメントと定着率の向上等な多岐にわたるメリットが期待できます。
照明・空調・音環境の見直し
適切な照明は、目の疲労軽減、集中力維持、気分向上に寄与します。
タスク・アンビエント照明の導入、色温度の最適化、調光・調色機能付き照明の導入、グレア対策、自然光の最大限の活用、LED照明への切り替えなどの改善施策が効果的です。
快適な室温と適切な湿度、空気清浄は、従業員の健康と集中力に大きく影響します。
ゾーン別空調の導入、スマート空調システムの導入、加湿器・除湿器の設置、換気システムの強化、気流対策などの改善施策が効果的です。
オフィスにおける騒音は、集中力阻害、ストレス増加、コミュニケーション障害の原因となります。
吸音材の活用、ゾーニングの最適化、サウンドマスキングシステムの導入、個人用ノイズキャンセリングヘッドホンの推奨、機器の静音化などの改善施策が効果的です。
グリーン(観葉植物)の導入
オフィスに観葉植物を導入することは従業員のウェルビーイングを高め、より快適で生産性の高いオフィス環境を構築するための、非常に有効な投資です。
観葉植物をオフィスに置くことで心理的効果とストレス軽減、物理的効果と空気質の改善、生産性・創造性の向上が期待できます。
整理整頓とペーパーレス化の推進
オフィス環境改善において整理整頓とペーパーレス化は生産性向上とコスト削減に直結する重要な施策です。
整理整頓は、単に見た目を良くするだけでなく、物の探し物時間を削減し、作業効率を高める効果があります。
ペーパーレス化は、コスト削減、情報共有の迅速化、セキュリティ強化に大きく貢献します。
オフィス環境改善の成功事例
弊社のエントランスホールは、20年以上にわたりオーソドックスな応接スペースとミーティングエリアでございました。
広いスペースを有効に活用しておらず、利用する目的や従業員も限定的であり、配置しているオフィス家具も時代に合わなくなってきておりましたのでリニューアルを実施しました。
・リニューアル前
・リニューアル後
コミュニケーションスペースを新設
リニューアル前のエントランスホールは主に応接目的で利用されており、従業員が利用することはほとんどございませんでした。
この課題を解消するためにまず視覚を遮るパーテイションを外すことで開放的な空間を確保し、センターにシンボリックなグリーンを取り入れた多目的テーブルを設置しました。
居心地の良いゆったりとした空間となり、従業員がリフレッシュやチームミーティングなど、多目的に使用するコミュニケーションスペースとなっております。
ミーティング・集中スペースを新設
前述のコミュニケーションスペースはチームミーティングでも活用されておりますが、
メリハリをつけるためにファミレス席型のワークスペースを設置しました。
コミュニケーションスペースからの直視をさける程度に適度な高さのソファーを設置、座り心地も良く、長時間の作業も快適に行えております。
また、多目的に使えるように大型のテーブルを導入しました。
広いソファーとの相乗効果で集中ワーク用としてだけではなく、より議論を深めたい内容のミーティングや、お客様へのプレゼンテーションスペースとしても活用されております。
従業員満足度と採用率の向上
リニューアル後のエントランスホールは会社のイメージとして定着しております。
従来のエントランスホールは利用する目的や利用する従業員も限定的でしたが、リニューアル後は来客の対応だけでなく、従業員のリフレッシュスペースに、集中業務スペースに、コミュニケーションスペースとして多目的に活用されております。
リフレッシュできる場所が増えたことや、自席以外にワークスペースが増えたことで、従業員の満足度が向上しました。
また、明るくカジュアルな雰囲気のスペースのため、入社希望者が面接時に緊張することなく自己アピールを行える様になり、
ミスマッチが軽減され採用率の向上にもつながりました。
入社希望者からも「働きやすそうなオフィス環境」と好印象で、優秀な人材の獲得にも成功しました。
オフィス家具選びで失敗しないためのポイント
オフィス環境の改善は、従業員の生産性向上、モチベーションアップ、健康維持、企業のイメージアップ、そして優秀な人材の確保につながる重要な取り組みです。
オフィス家具選びはその中でも特に重要な要素であり、失敗しないためのポイントを押さえることが肝心です。
以下のポイントを押さえましょう。
デザイン性:空間全体の調和と企業イメージの表現
オフィス家具は、企業の文化や価値観、ブランドイメージを来訪者や従業員に伝えるメッセージとしての役割も担います。
オフィスのコンセプトや企業文化を反映したデザインを選びましょう。
統一感のある空間は、従業員の帰属意識を高め、来訪者にも良い印象を与えます。
機能性:従業員の働きやすさと健康への配慮
従業オフィス家具は単なる道具ではなく、従業員が一日の中で最も多くの時間を過ごす場所を構成する大切な要素です。
機能性を重視した家具選びは、従業員の身体的負担を軽減し、精神的なストレスを和らげ、最終的に企業全体のパフォーマンス向上に繋がります。
従業員が長時間快適に過ごせるか、業務効率が上がるかといった機能面を重視しましょう。
特にデスクやチェアは、従業員の健康に直結するため、慎重な選定が必要です。
コストパフォーマンス
オフィス家具は高額な買い物になることも多いため、コストパフォーマンスを意識した選び方も重要です。
まず、必要な家具をリストアップし、それぞれの市場価格を調査して全体の予算を設定します。
配送費や設置費、追加部品など、商品価格以外にかかる費用も考慮に入れます。
目先の安さだけでなく、高品質で耐久性のある家具を選ぶことで、結果的に買い替えの頻度が減り、長期的なコスト削減に繋がります。
修理や部品交換が容易なデザインの家具を選ぶことも、長く使う上では重要です。