なぜ今「健康経営オフィス」が注目されるのか?
健康経営オフィスの定義と注目される理由
健康経営オフィスとは、健康を保持・増進する行動を誘発することで、働く人の心身の調和と活力の向上を図り、ひとりひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できる場のことです。
※ 経済産業省 健康経営 オフィスレポート から引用
今健康経営オフィスが注目される理由は、
労働力不足への対応と生産性向上・働き方改革と社会的関心の高まり・企業価値の向上とブランディング・テクノロジーの進歩とデータの活用などの要因によります。
これらの要因はそれぞれ独立して働くのではなく、一つが強まれば他の要因も連動して重要度が増して行きます。
これらの要因が相まって、健康経営オフィスは企業の持続的な成長と競争力強化のための戦略的な投資として、その重要性が高まっているのです。
現代社会において、従業員の心身の健康は、企業の競争力に直結する重要な要素です。
長時間労働やストレスフルな職場環境は、従業員のモチベーション低下や休職・離職を招き、結果として企業全体の生産性を大きく損なう可能性があります。
「健康経営オフィス」は、従業員が心身ともに健康で、いきいきと働ける環境を提供することで、これらの課題を解決し、以下のようなメリットをもたらします。
「健康経営オフィス」がもたらす3つのメリット
1.従業員の満足度向上:心身の健康を支える快適な空間
快適で健康に配慮されたオフィスは、従業員のストレス軽減や心身の健康増進に繋がり、仕事に対する満足度を高めます。
例えば、自然光を多く取り入れた明るい空間や、植物を配置したリラックスできる環境は、働く人の心理的な安定に寄与します。
2.生産性向上:集中とコミュニケーションを促進する環境
適切なオフィス環境は、従業員の集中力や創造性を高め、業務効率の向上に貢献します。
集中したい時には静かな個人ブースを、活発な議論をしたい時にはオープンなミーティングスペースを設けるなど、業務内容に合わせた環境を用意することが重要です
すぐに始められる!オフィス環境改善のアイデア5選
大掛かりな改装をしなくても、すぐに取り組めるオフィス環境改善のアイデアをご紹介します。
1.自然光の活用とグリーン導入
オフィス環境において、自然光の活用とグリーン導入は、単なるデザイン要素に留まらず、従業員の心身の健康と生産性向上に直結する重要な投資と言えます。
デスクの配置を工夫して自然光を取り入れ、観葉植物を置くことで、リラックス効果や空気清浄効果が期待できます。
2.リフレッシュスペースの充実
リフレッシュスペースは、単なる福利厚生ではなく、従業員のパフォーマンスを最大化し、企業の持続的な成長を支える戦略的な投資です。
短時間でも心身を休められる、居心地の良い休憩スペースを設けましょう。
コーヒーやお茶、健康的なスナックなどを置くのも効果的です。
3.スタンディングワークの導入
スタンディングワークは、現代のオフィスにおける健康経営や多様な働き方を支援する上で、非常に有効な選択肢です。
長時間座りっぱなしの作業は健康リスクを高めます。
スタンディングデスクを導入したり、気軽に立って作業できるスペースを設けたりするのも良いでしょう。
働き方用語 スタンディングワーク ※コクヨ 働き方用語辞典から引用
4.フリーアドレスの検討
フリーアドレスは、単に固定席をなくすだけでなく、働く場所の選択肢を増やし、より自律的で効率的な働き方を実現するための手段です。
部門や役職にとらわれず、その日の業務内容や気分に合わせて働く場所を選べるフリーアドレス制は、コミュニケーションの活性化や自律的な働き方を促進します。
5.適切な空調管理と換気
従業員の健康、快適性、生産性、そしてオフィスの省エネルギー化において極めて重要な要素です。
アフターコロナでは換気の重要性が改めて認識されています。
快適な室温・湿度を保ち、定期的な換気を行うことで、集中力の維持や健康リスクの低減に繋がります。
最新トレンド!「健康経営」を加速させるオフィスレイアウト4選
近年、従業員のウェルビーイング(心身ともに良好な状態)を重視したオフィスレイアウトがトレンドとなっています。
1.ABW(Activity Based Working)
ABWは、従業員がその日の業務内容や気分、集中度合い、共同作業の有無などに応じて、オフィス内の多様なスペースを自由に選択して働くワークスタイルです。自宅やカフェなどのオフィス外の場所も働く場所として含めることができ、より柔軟で自律的な働き方を促進します。
「集中」「協働」「リフレッシュ」など、目的に応じた多様なスペースを設けることで、生産性と満足度の向上を目指します。
働き方用語 ABW ※コクヨ 働き方用語辞典から引用
2.バイオフィリックデザイン
自然の要素をオフィス空間に取り入れるデザイン手法です。
オフィスにおけるバイオフィリックデザインは、従業員の健康、幸福度、生産性、創造性を向上させるための、今最も注目されているデザインアプローチの一つです。
「バイオフィリア(biophilia)」という「人間が本能的に自然とつながりたいという欲求を持っている」という概念に基づいています。
植物、自然光、天然素材などを活用し、ストレス軽減や創造性の向上を促します。
働き方用語 バイオフィリックデザイン ※コクヨ 働き方用語辞典から引用
3.コミュニケーションハブの設置
オフィスにおけるコミュニケーションハブの設置は、従業員間の交流を促進し、部署間の連携を強化し、ひいては組織全体の生産性やエンゲージメントを高める上で非常に重要な戦略です。
偶発的な出会いや会話が生まれるような、オープンで居心地の良いコミュニケーションスペースを意図的に設けることで、部門間の連携強化や新たなアイデアの創出を促進します。
4.集中ブースの設置
オフィスにおける集中ブースの設置は、現代のオフィス環境、特にオープンオフィスやフリーアドレス制が普及する中で、従業員の生産性、ストレス軽減、そしてウェルビーイングを向上させるために極めて重要な要素となっています。
周囲の音や視線を気にせず、集中して作業に取り組める個人用のブースを設置します。
Web会議などにも活用できます。
【事例紹介】「健康経営オフィス」で働き方が変わったケース
弊社のお客様(山梨県内半導体製造販売A社)では、長時間デスクワークによる従業員の肩こりや腰痛、コミュニケーション不足による部署間の連携の滞りが課題でした。
そこで、以下のオフィス環境改善を実施しました。
※情報漏洩防止の為に社名はA社、写真もイメージ画像となります。
天板角度調整デスクと高機能チェアを導入
天板の角度を調整する事が出来るデスクシステム アプティス(UPTIS) と、
360°グライディングチェア イング(ing) を導入。
アプティスでは視点が上がることで目が疲れにくくなり、首及び手首への負担が少なくなったとのお声を頂きました。
イングではバランスボールの様に動きながら座ることで体の負担が減った・リフレッシュしやすくなったとのお声を頂きました。
従業員皆様の健康診断の有所見率も改善傾向になっているとのことでございます。
コミュニケーションスペースを新設
改善後の効果としてコミュニケーションスペースでの雑談から新たなプロジェクトのアイデアが生まれるなど、部署間の連携がスムーズになり、プロジェクトの進行速度が向上しました。
オフィス全体にグリーンを設置
観葉植物の戦略的配置、壁面緑化、天井緑化・ハンギンググリーンなど様々なアプローチを実践。
改善後の効果として従業員の心身のストレス軽減とリラックス効果につながるだけでなく、採用面接に来た候補者からも「働きやすそうなオフィス環境」と好印象で、優秀な人材の獲得にも成功しました。
この事例の様に、オフィス環境への投資は、従業員の健康と企業の成長の両方に繋がると言えます。
~こぼれ話・反省点~
A社様からはおおむね高評価を頂きましたが、中にはデスクの天板が傾斜する事でかえって体の負担が増えたという声や、チェアの座面がぐるぐる動いて落ち着かないという声も頂きました。
不公平感を無くす為にデスクとチェアを統一する事がデメリットをもたらす場合もある事を学びました。